2023年9月9日 05:00 | 無料公開
中央分離帯に並ぶカイヅカイブキ=浦安市
浦安市の市道「市役所通り」で、枝が車の安全を損ないかねないなどとして市が8月末に始めた中央分離帯の街路樹伐採を巡り、地元住民の一部に「事前に詳しい説明がない」と反発が広がっている。事態を受けて市は5日、内田悦嗣市長名で住民らに対し、伐採計画の再検討を伝えた。
市によると、伐採計画は東野交差点から見明川の突き当たりまでの約1・8キロ。中央分離帯にはカイヅカイブキが計223本植栽されており、キノコ形の眺めが独特の魅力になっている。だが、成長した枝が境界を越えて通行車に接触しかねず、横断歩道を使わず樹木の間を横切って渡る人もいるとして、市は、カイヅカイブキの根元からの伐採とともに防護柵を設置して、背丈の低いツツジへの植え替えも行うことにした。
市は計約1億3千万円の費用を計上。工事はカイヅカイブキ111本がある北半分と、112本の南半分の2区間に分け、北半分は8月末から伐採が始まった。
だが、南半分の工事に地元・東野3丁目の住民は猛反発した。市担当者が自治会長を訪れ、9月4日開始の工事の周知を要請したのは直前の8月25日。「地元で長く親しまれてきた樹木。事前の相談もなく住民を無視している」と住人の亀山大二郎さん(78)は、市への意見窓口「市長への手紙」に伐採中止を求めるメールを出し、約130人の反対意見を集めて市に届けた。自治会も呼応する形で意見集めに乗り出した。
これに対し、市は5日、内田市長名で「既存の樹木を残しつつ横断防止柵を設置するなど施工方法を再度、検討する」と回答。市道路整備課は取材に、安全のために柵は設置するとした上で「今ある樹木を残す方向で検証したい。地元と早期に話を進めたい」と説明した。