2023年9月13日 05:00 | 無料公開
展示されている直刀。文字や模様の存在を調べるX線検査も検討されている=市立市川考古博物館
市川市の市立市川考古博物館(同市堀之内2)は、市内の古墳から発掘されたとみられる「謎の直刀」の出土場所の特定に向け、開催中の小企画展で「どんな情報でも提供を」と呼びかけている。発見場所によっては「市川の古墳研究において大きな発見となるかも」と期待。鍵を握るのは、直刀の台板に記された「山崎直三郎」さんに関する情報という。
「直刀」は、明治の末に市内で見つかった。発見者の名前は分かっているが、肝心の古墳の場所が謎のままになっている。
県内の別の男性が2021年12月に同館に寄贈。全長86センチ、鉄製の刀身はさびに覆われている。反りはなく、7世紀の古墳時代終末期ごろの副葬品とみられる。
刀は板に針金で固定され、台板には「明治四十一年 大字国分 山崎直三郎方宅地内の瓢塚で発見」などと記されている。瓢(ひさご)塚は古墳でも格上の前方後円墳を指すことが多く、同年に「大字国分の山崎氏方の宅地内の前方後円墳で見つかった」と読める。寄贈者の父親(故人)が、「山崎」さんから何らかの形で譲り受けたらしい。
問題は、当時の「大字国分」には、古墳や遺構が極めて少ない大半の地区と、国府台古墳群に連なる一部の地区があることだ。刀が発見されたのが前者なら、これまで地区内で発見されたことのない前方後円墳の存在が推測され、「市川における古墳群の位置関係や歴史に修正が必要になるかもしれない」と同館の松本太郎学芸員は話す。
発見場所の特定には、「山崎」さん関連の情報が欠かせず、松本さんは古い住宅地図や地元の寺などを調べたが、有力な情報は得られていない。
直刀は同館寄贈の新資料を紹介する小企画展で来年7月まで公開する予定。問い合わせは同館(電話)047(373)2202。