2023年11月5日 05:00 | 無料公開
勝浦市興津地区への移住をきっかけに勝浦伝統の朝市で、おでんブース「興津のゆうちゃん」を出店。買い物客や出店者らと笑顔で言葉を交わし「朝市はものを売るというよりも人と向き合う場所」と語る。
朝6時半前にはオレンジ色のテントを通りに設営し、前日に自宅で下ごしらえをしておいたおでんを温める。ずんどうに入った大根、こんにゃく、厚揚げ、卵は約50杯分。開店2時間足らずで空になることもある。
朝市に店を出す「鶴屋海産」のかつお節で、おでんつゆのだしを取る。客として朝市に足を運んだ際、その場でかつお節を削ってくれた店主と親しくなり同店のファンに。かつお節のおいしさを伝えるとともに、自分が感じた朝市の良さを知ってもらう手段が、おでんだった。
岐阜県中津川市出身。完全リモートワークの仕事をしていた昨春、全国の住宅などを定額利用できるサービスを使って勝浦のシェアハウスへ。案内された朝市を気に入り、毎日のように通った。
「知り合った人たちの生い立ちや昔話を聞いたり、朝市で買った地域の食材を取り入れてご飯を作ったりするのが楽しくて。自然と人とつながれる感じがすごくいいなと」。自分も朝市に出店したい気持ちが強くなっていった。
昨年7月に勝浦へ移住。現地語に興味があったフィリピン留学を経て、今年2月から朝市でおでん販売を開始。「本当にやっていけるのだろうか」との不安は周りのサポートのおかげで吹き飛び、朝市の醍醐味(だいごみ)である客との会話を楽しんでいる。
「自分のことを話すと、生き方や大切にしていることなど自分自身の気づきがある。だから人と向き合うことを大事にしていきたい」