「木やり獅子舞」市文化財に 台風で本殿損壊の地元に喜び 「地域活性の一助に」 富津・三柱神社

 千葉県内でも珍しい昔ながらの伝統が残っているとして、富津市は三柱神社(同市竹岡)の「木やり獅子舞」を市無形民俗文化財に指定し20日、市役所で保存会に指定書を渡した。同神社は昨年10月の台風26号の土砂崩れで県指定有形文化財の本殿が損壊しており、明るい話題に住民に喜びが広がった。

 同神社の木やり獅子舞は、2年に1度行われる7月の本祭りで奉納される。木やり唄を歌いながら雄、雌2体の獅子が町中を練り歩き、各民家で2体が恋情を伝えるような演技を見せて厄払いする。

 こうした特徴は、獅子舞の中でも古い様相をとどめるといい、獅子頭は江戸時代末期の作とされる。同様の木やり獅子舞は、神奈川県三浦市や木更津市桜井などの海岸部に見られ、海沿いに伝わったと言われている。

 指定書を受け取った竹岡三柱神社木遣り獅子舞保存会(石井強会長)は、3年ほど前から文化財への指定を市に要望しており、顧問の斉藤幸一さん(84)は「これを機に若い人の力を結集し、地域活性化への一助にしたい」と意欲を示した。

 相談役で獅子舞の指導にあたる浜名松夫さん(64)は「神社が壊れたこともあり、指定を待ち望んでいた。後世に残していきたい」と喜びを語った。今後は、地区外の老人ホームや幼稚園で披露するなど活動の幅を広げたいという。


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