東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国からとみられる迷惑電話が千葉県内でも確認されている。銚子市の宿泊施設には、海洋放出直後から電話があり、担当者は「客に対応できず業務妨害だ」と憤る。船橋市や袖ケ浦市の観光施設などにも電話がかかってきており、各地で困惑が広がっている。
銚子市のホテルには24日の放出直後、迷惑電話が相次いだ。中国語で一方的にまくし立てられ、子どもからとみられる電話や無言電話もあった。現在は中国の国番号「86」から始まる国際電話の着信があった場合、すぐに切ったり出ないようにしたりしている。
担当者は電話の件数について「きりがなく数えていない」とし「客から予約の電話もあるので困る。もう我慢比べだと思う」と話した。
同市の別のホテルにも24日午後6時ごろ、中国語とみられる電話があり、30分ほど鳴りやまず警察に連絡した。機械のような音声で「日本人のばかやろう」「汚水を流すな」といった日本語も流れた。担当者は「用事があって連絡してくる客がいるので留守電などにはできない。仕事にならなかった」。
勝浦市のホテルにも数件かかってきた。電話を切って対応したといい、従業員は「それ(電話を切る)しかないでしょうね。相手が分からないのでやりようがない」と嘆いた。
九十九里町の宿泊施設「国民宿舎サンライズ九十九里」では、27日の夕方に2回、86で始まる番号の国際電話があった。男の声で「Can you speak Chinese?」と聞かれた後、中国語で一方的に話されて電話は切れた。複数の男女の笑い声も聞こえたという。同施設は番号を控えるなどの対応を取った。
袖ケ浦市の東京ドイツ村には、数日前から中国語の電話が1日数回かかり、数分おきに集中したこともあり「まさか、うちまで。困っちゃいますね」(担当者)。成田市によると、28日、市立小学校に電話があった。翻訳機を使って「中国語話せますか?」「ばかやろう。なんで処理水を流すんだ」などと話してきたという。市は今回の事例を受けて、市役所の代表電話用に想定問答を用意した。
船橋市のふなばしアンデルセン公園には、26日に5回ほどかかってきた。男の声で中国語のような言葉を一方的に話し、しばらくすると切れたという。電話を受けた男性職員は「録音を再生しているようで雑音が多く、ほとんど聞き取れなかった。『もしもし』と言っているようにも聞こえた」と振り返る。
同市のふなばし三番瀬海浜公園にも、26、27日の営業時間中に数件あった。同園の男性職員は「中国人客は潮干狩りの時期に少し来るが特別多くはない。なぜうちなのか」と首をひねっていた。