騒音被害原告「限界」 国側は却下求める 成田夜間飛行差し止め訴訟

千葉地裁
千葉地裁

 成田空港を発着する航空機の騒音で被害を受けているとして、成田市など周辺5市町の住民ら計15人が、国を相手取り、夜間早朝の離着陸差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、千葉地裁(岡山忠広裁判長)で開かれ、国側は請求の却下を求めた。

 訴状によると、原告は成田市、芝山町、横芝光町、多古町、茨城県稲敷市の住民ら。午後9時~翌日午前7時まで、航空機の離着陸を禁止する処分を成田空港に出すよう求めている。

 成田空港では現在、午前6時~翌日午前0時まで離着陸が行われている。原告側は住宅地の上空を飛行する大阪国際空港(兵庫県伊丹市)などは平均9~10時間の飛行禁止の時間が設けられており、成田空港の6時間は短く、夜間の飛行が大幅に許容されていると指摘している。

 発着容量を拡大する空港機能強化後は、午前5時~翌日午前1時までの離着陸が可能となる。飛行禁止時間はさらに短い4時間に限られ、原告側は「原告らの生命や健康の重大な侵害となり得る」と主張した。

 原告団長の加藤茂さん(73)=成田市=も意見陳述で「(騒音による)朝昼晩の生活妨害は甚大で、これ以上は限界。地域住民の命が犠牲になっていいのかと問いたい」と訴えた。

 国は「原告適格が認められない」などとし請求の却下を求めていたが、岡山裁判長は「実態に伴う答弁を出せないなら、中間判決を検討せざるを得ない」とした。

 閉廷後に記者会見した海渡雄一弁護団長(68)は、岡山裁判長が国側に原告側の主張に対する反論を求めたことについて「第一関門はくぐり抜けられた」と話した。


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