袖ケ浦市の農地転用をめぐる贈収賄事件で、受託収賄などの罪に問われた同市の元農業委員、鳥海夫男被告（６８）＝同市＝と、贈賄の罪に問われた残土処理会社元社長、篠原勝幸被告（６５）＝佐倉市＝ら計男３人の論告求刑公判が２１日、千葉地裁（中直也裁判官）であり、検察側は鳥海被告に懲役３年、追徴金２００万円、篠原被告ら２人にいずれも懲役１年６月を求刑した。判決は２月１８日。

　検察側は論告で「農業委員会による公正な審議と議決を妨げた。社会の信頼を害し悪質」と指摘。その上で、鳥海被告について「公務員の立場にありながら、犯行を主導した」と厳しく述べた。

　鳥海被告の弁護側は「深く反省している」と執行猶予付判決を求めた。篠原被告らの弁護側も「要求を拒みきれなかった」などとして猶予刑を主張した。

　起訴状によると、鳥海被告は同市下宮田の農地の転用許可申請などをめぐり、市農業委員だった２０１２年５月、同委員会で許可に賛成するようにほかの委員に働き掛けるなど便宜を図ってほしいとの依頼を受け、同年９月２１日ごろ、篠原被告らから見返りとして現金約２００万円を受け取った。さらに、篠原被告らと共謀し、転用に反対する委員に３００万円の賄賂を渡そうとしたとされる。