知的障害がある児童らが入所する千葉県袖ケ浦市蔵波の同県立福祉施設「養育園」で昨年11月、入所者男性(19)が暴行を受け、その後死亡した事件で、施設を運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」は25日、幹部を含む職員計15人に対して停職などの懲戒処分を行うと発表した。近藤敏旦理事長の辞任と新理事長の候補も明らかにした。
事業団によると、一連の虐待の管理責任を問い、田村邦夫前常務理事と武田逸朗前養育園施設長をいずれも停職3月の懲戒処分にする。2人は今月末で退職する予定で、事業団は2人に退職金から給与3カ月分の自主返納を求める。
また、入所者に暴行した男性職員を停職10日、暴行を目撃しながら上司に報告しなかった男性職員3人を減給、9人を戒告とした。文書訓告や厳重注意などを含めると、処分を受ける職員は計32人に上った。処分はいずれも28日付。
近藤理事長は今月末に辞任し、報酬3カ月分を自主返納する。小川延英前理事長にも、在任中に管理監督責任を怠ったとして、報酬3カ月分の寄付を求めるとしている。
新理事長には、県知的障害者福祉協会副会長を務める田中齋氏が就任の見込み。田中氏は、同事件の検証を行っている県の第三者検証委員会委員も務めている。理事には権利擁護団体の委員や弁護士ら5人が候補になっている。27日の評議委員会で正式に選任され、任期は4月1日からの2年間。事業団は先月21日に県から幹部刷新を求める勧告を受け、県から推薦された障害者福祉の専門家を中心に人選を進めていた。
近藤理事長は会見で「(障害者福祉の)経験がなくてもいいという話で理事長に就任したが、やはり知識や経験が必要だったと思う」と述べ、新理事には「2度とこのような悲しい事件を起こさないよう、利用者が安心して生活できる施設にしてほしい」と求めた。