TMNETWORK (撮影:鈴木千佳)(C)ORICON NewS inc.
1984年のデビュー以来、時代ごとのテクノロジーやサウンドを取り込みながら、独自の音楽表現を築いてきたTMNETWORK。小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人が、最新ツアー『TMNETWORK TOUR 2026 QUANTUM』を振り返った。“QUANTUM(量子)”をコンセプトに掲げた同ツアーは、ヒット曲を中心にした構成ではなく、レアな楽曲や新曲も織り交ぜながら、40周年を経てもなお変化を続ける3人を映し出すものとなった。
【写真】楽しそう!トークが止まらないTMNETWORKの3人
今回のインタビューでは、3人がツアーに込めたテーマや、公演を重ねる中で変化していったステージについて語ったほか、ライブではMCをしない3人が音楽について楽しく語り合う番組『TMNETWORK スケルラジオ』についてのトークも展開された。
■新たなユニット表記「TMNETWORK」への思い
まず話題に上がったのは、新たなユニット表記「TMNETWORK」の“ワンワード化”について。小室は、きっかけのひとつとしてハッシュタグ文化を挙げた。「ハッシュタグでTM NETWORKを入力するときは、ずっとくっついていたんですよ」とSNS上では自然とワンワード化されていたことを説明し、「TM」がトレードマーク(商標)を示す表記としてさまざまな場所で使われていることもあり、「ツアーのタイミングでワンワードにしたい」と考えるようになったという。
また小室は、視覚的なインパクトについても言及。Netflixのロゴのような強い印象や、ステージ上に表示されたときのインパクトも意識してワンワードにしたと明かすと、宇都宮と木根は「それは初めて聞いた」と反応。小室は「これからずっとTMNETWORKでいきます」と、表記の変化もアップデートとして楽しんでいる様子だった。
■ファンとの関係は“量子もつれ”
5月2日に終幕した『TMNETWORK TOUR 2026 QUANTUM』は、“QUANTUM(量子)”をコンセプトに掲げたツアー。小室は、構想そのものは前年から始まっていたとし、「AIよりもさらに進んだテーマでいきたいと考えていた」と語る。そこから“量子もつれ(※2つ以上の粒子が互いに強く結びつき、一方の状態を観測すると、どれほど離れていてももう一方の状態が瞬時に決まる現象)”や“観測”といった概念へと発想が広がり、「観測はライブ会場でお客さんにしてもらう」というコンセプトが仕上がったという。
小室はさらに、“量子もつれ”という概念を、ファンとの関係性にも重ねていた。「“もう1回TMNETWORKのライブに行ってみようかな”とか、“全然リアルタイムじゃないけど、この音楽が好きだな”とか、きっかけはそれぞれ違っても、TMNETWORKの音楽に人が集うことには意味がある」と語り、「そういうのって絆とか愛とかいう言葉で表現することが多いかもしれないけど、僕らは恥ずかしくてそういうことを言えないんですよ。昔から」と笑いながら、ファンとの関係性も“量子もつれ”と表現した。
WOWOWで今回のツアーの横浜アリーナ公演が放送・配信されるが、同公演について木根は「自分はいつも余裕ないから(笑)、自分がやるべきことをしっかりやらなきゃいけないという気持ちが強かった」と振り返る。大きな会場でのプレッシャーもありながら、「横浜アリーナはホームっていうか、一番たくさんやっているんじゃないかな」と話し、安心感もあったと明かした。
宇都宮は、ホールツアーを経て横浜アリーナにたどり着いたことで、映像や演出の見え方が大きく変わったと語る。リハーサルの段階で大画面で映像を見たときから、「ホールとはまた感覚が変わるだろうな」と感じていたといい、実際に観客からも「映像がすごかった」という声が多く届いたという。「自分たちがやりたいことが、アリーナクラスだとより良く見えるんじゃないかな」と、会場規模と今回のテーマの相性を語った。
■変化し続ける理由は――「飽きっぽい」から?
今回のツアーでは、公演を重ねるごとに内容も変化していった。小室がツアー直前に右目の眼窩(がんか)底を骨折、さらに宇都宮の体調不良もあり3人で集まって準備できた日数が限られていたことを明かし、宇都宮は「絶対に始まってから作っていく形になるんだろうなと思っていた」と振り返る。3人は「準備不足」と冗談交じりに言い合いながらも、その変化こそが今回のツアーの生々しさにもつながっていた。
木根は、今回のステージでラップ・スチール・ギターにも挑戦した。きっかけはスタッフや映像チームとともに観たピンク・フロイドの映像だったといい、そこから「ラップ・スチール・ギターを使ってみよう」という流れになったという。「二度と使わないかもしれないから買うのはどうしようと思って…」と笑わせつつ、ギタリストの野村義男に借りて練習を始めた。「最初は手探りでしたけど、実際に演奏してみると楽しかった」と振り返った。
小室もソロセクションで“ルーパー”という機材を導入。「ピアノでルーパーを使うのは難しいよね。1回も完璧にはできなかったと思う」と振り返りながらも、思うようにいかない部分も含めて、新たなアプローチを楽しんでいた。今回のライブ映像の見どころのひとつと言えそうだ。
ツアーの初期段階では歌詞がなかった新曲に歌が入り、最終公演の頃にはさらに歌詞が変化した部分もあったという。それらの変化について、小室が「ほら、歌舞伎もだんだん出来上がっていくでしょ」と語ると、2人が「出来上がっているものをどんどん良くしていくんだよ!」と突っ込み、小室は「今回ちゃんとオンエアしていただいて、このステージが正解だったっていうことにしてもらうのがいい」と笑った。
40年以上活動を続けながら、今もなお新しいテーマに向き合い、変化し続けることについて、小室は「飽きっぽいんだよね」と語る。木根も「基本は見切り発車」と乗っかり、宇都宮もそのやり取りに加わる。完成されたものを再現するのではなく、その時々で変化を楽しみながら形にしていく。それは今回のライブに限らず、TMNETWORKが長く活動を続けてきた中で育まれてきたスタンスともいえそうだ。予定調和に収まらない緊張感と、変化していくことの面白さが、現在の3人の表現にもつながっている。
■“キク・ミル・ヨム”で展開する『TMNETWORK スケルラジオ』
一方で、WOWOWではライブ映像とあわせて『TMNETWORK スケルラジオ WOWOW ver.』も放送・配信される。『TMNETWORK スケルラジオ』は、InterFM897、WOWOW、リットーミュージックの3社が、“キク・ミル・ヨム”をテーマにメディアミックス展開する企画。InterFM897では“キク”版としてラジオ番組を放送し、WOWOWでは“ミル”版としてアフタートークを含む映像版を届ける。さらにリットーミュージックからは“ヨム”版として電子書籍および書籍の刊行も予定されている。
作り込まれたツアーの世界観とは対照的に、同番組は3人が音楽についてラフに語り合うコンテンツだ。ステージではほとんどMCをしない3人だからこそ、音楽トークを、リラックスしながら繰り広げる姿そのものが貴重な内容となっている。
小室と木根は楽器を弾くミュージシャンとして、アルバムに深くハマる経験が多い一方、宇都宮は歌い手としての立場から、少し違う距離感で音楽と接してきたという。宇都宮は「毎回選曲に悩みながら楽しんでいます」と笑う。「影響を受けたアルバム」として語るとき、自分の場合は選び方が難しいとしながらも、2人のサポートもあり、番組ではそれぞれの音楽観が自然に引き出されているようだ。
『TMNETWORK TOUR 2026 QUANTUM』のライブ映像では、量子というテーマをもとにした大規模なステージ演出を体感できる。一方の『TMNETWORK スケルラジオ WOWOW ver.』では、3人が音楽をめぐって語り合う素顔に近い時間が楽しめる。対照的な2つのコンテンツを通して、TMNETWORKの魅力にたっぷり浸ることができそうだ。
【TMNETWORK】
1983年5月、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人で結成。1984年4月21日にシングル「金曜日のライオン (Take it to the Lucky)」、アルバム『RAINBOW RAINBOW』でデビュー。斬新なサウンド、深遠なメッセージ性、緻密に構築されたメディア戦略で瞬く間に日本国内を席巻し、現在のJ-POPシーン隆盛の礎を築いた。1994年にプロジェクト終了宣言をするも、1999年に再始動。その後、何度かの活動スリープと再起動を経て、2021年より複数年にまたがる40周年プロジェクトを敢行。2026年に名称をTMNETWORKへサイレントリニューアル。"
【写真】楽しそう!トークが止まらないTMNETWORKの3人
今回のインタビューでは、3人がツアーに込めたテーマや、公演を重ねる中で変化していったステージについて語ったほか、ライブではMCをしない3人が音楽について楽しく語り合う番組『TMNETWORK スケルラジオ』についてのトークも展開された。
■新たなユニット表記「TMNETWORK」への思い
まず話題に上がったのは、新たなユニット表記「TMNETWORK」の“ワンワード化”について。小室は、きっかけのひとつとしてハッシュタグ文化を挙げた。「ハッシュタグでTM NETWORKを入力するときは、ずっとくっついていたんですよ」とSNS上では自然とワンワード化されていたことを説明し、「TM」がトレードマーク(商標)を示す表記としてさまざまな場所で使われていることもあり、「ツアーのタイミングでワンワードにしたい」と考えるようになったという。
また小室は、視覚的なインパクトについても言及。Netflixのロゴのような強い印象や、ステージ上に表示されたときのインパクトも意識してワンワードにしたと明かすと、宇都宮と木根は「それは初めて聞いた」と反応。小室は「これからずっとTMNETWORKでいきます」と、表記の変化もアップデートとして楽しんでいる様子だった。
■ファンとの関係は“量子もつれ”
5月2日に終幕した『TMNETWORK TOUR 2026 QUANTUM』は、“QUANTUM(量子)”をコンセプトに掲げたツアー。小室は、構想そのものは前年から始まっていたとし、「AIよりもさらに進んだテーマでいきたいと考えていた」と語る。そこから“量子もつれ(※2つ以上の粒子が互いに強く結びつき、一方の状態を観測すると、どれほど離れていてももう一方の状態が瞬時に決まる現象)”や“観測”といった概念へと発想が広がり、「観測はライブ会場でお客さんにしてもらう」というコンセプトが仕上がったという。
小室はさらに、“量子もつれ”という概念を、ファンとの関係性にも重ねていた。「“もう1回TMNETWORKのライブに行ってみようかな”とか、“全然リアルタイムじゃないけど、この音楽が好きだな”とか、きっかけはそれぞれ違っても、TMNETWORKの音楽に人が集うことには意味がある」と語り、「そういうのって絆とか愛とかいう言葉で表現することが多いかもしれないけど、僕らは恥ずかしくてそういうことを言えないんですよ。昔から」と笑いながら、ファンとの関係性も“量子もつれ”と表現した。
WOWOWで今回のツアーの横浜アリーナ公演が放送・配信されるが、同公演について木根は「自分はいつも余裕ないから(笑)、自分がやるべきことをしっかりやらなきゃいけないという気持ちが強かった」と振り返る。大きな会場でのプレッシャーもありながら、「横浜アリーナはホームっていうか、一番たくさんやっているんじゃないかな」と話し、安心感もあったと明かした。
宇都宮は、ホールツアーを経て横浜アリーナにたどり着いたことで、映像や演出の見え方が大きく変わったと語る。リハーサルの段階で大画面で映像を見たときから、「ホールとはまた感覚が変わるだろうな」と感じていたといい、実際に観客からも「映像がすごかった」という声が多く届いたという。「自分たちがやりたいことが、アリーナクラスだとより良く見えるんじゃないかな」と、会場規模と今回のテーマの相性を語った。
■変化し続ける理由は――「飽きっぽい」から?
今回のツアーでは、公演を重ねるごとに内容も変化していった。小室がツアー直前に右目の眼窩(がんか)底を骨折、さらに宇都宮の体調不良もあり3人で集まって準備できた日数が限られていたことを明かし、宇都宮は「絶対に始まってから作っていく形になるんだろうなと思っていた」と振り返る。3人は「準備不足」と冗談交じりに言い合いながらも、その変化こそが今回のツアーの生々しさにもつながっていた。
木根は、今回のステージでラップ・スチール・ギターにも挑戦した。きっかけはスタッフや映像チームとともに観たピンク・フロイドの映像だったといい、そこから「ラップ・スチール・ギターを使ってみよう」という流れになったという。「二度と使わないかもしれないから買うのはどうしようと思って…」と笑わせつつ、ギタリストの野村義男に借りて練習を始めた。「最初は手探りでしたけど、実際に演奏してみると楽しかった」と振り返った。
小室もソロセクションで“ルーパー”という機材を導入。「ピアノでルーパーを使うのは難しいよね。1回も完璧にはできなかったと思う」と振り返りながらも、思うようにいかない部分も含めて、新たなアプローチを楽しんでいた。今回のライブ映像の見どころのひとつと言えそうだ。
ツアーの初期段階では歌詞がなかった新曲に歌が入り、最終公演の頃にはさらに歌詞が変化した部分もあったという。それらの変化について、小室が「ほら、歌舞伎もだんだん出来上がっていくでしょ」と語ると、2人が「出来上がっているものをどんどん良くしていくんだよ!」と突っ込み、小室は「今回ちゃんとオンエアしていただいて、このステージが正解だったっていうことにしてもらうのがいい」と笑った。
40年以上活動を続けながら、今もなお新しいテーマに向き合い、変化し続けることについて、小室は「飽きっぽいんだよね」と語る。木根も「基本は見切り発車」と乗っかり、宇都宮もそのやり取りに加わる。完成されたものを再現するのではなく、その時々で変化を楽しみながら形にしていく。それは今回のライブに限らず、TMNETWORKが長く活動を続けてきた中で育まれてきたスタンスともいえそうだ。予定調和に収まらない緊張感と、変化していくことの面白さが、現在の3人の表現にもつながっている。
■“キク・ミル・ヨム”で展開する『TMNETWORK スケルラジオ』
一方で、WOWOWではライブ映像とあわせて『TMNETWORK スケルラジオ WOWOW ver.』も放送・配信される。『TMNETWORK スケルラジオ』は、InterFM897、WOWOW、リットーミュージックの3社が、“キク・ミル・ヨム”をテーマにメディアミックス展開する企画。InterFM897では“キク”版としてラジオ番組を放送し、WOWOWでは“ミル”版としてアフタートークを含む映像版を届ける。さらにリットーミュージックからは“ヨム”版として電子書籍および書籍の刊行も予定されている。
作り込まれたツアーの世界観とは対照的に、同番組は3人が音楽についてラフに語り合うコンテンツだ。ステージではほとんどMCをしない3人だからこそ、音楽トークを、リラックスしながら繰り広げる姿そのものが貴重な内容となっている。
小室と木根は楽器を弾くミュージシャンとして、アルバムに深くハマる経験が多い一方、宇都宮は歌い手としての立場から、少し違う距離感で音楽と接してきたという。宇都宮は「毎回選曲に悩みながら楽しんでいます」と笑う。「影響を受けたアルバム」として語るとき、自分の場合は選び方が難しいとしながらも、2人のサポートもあり、番組ではそれぞれの音楽観が自然に引き出されているようだ。
『TMNETWORK TOUR 2026 QUANTUM』のライブ映像では、量子というテーマをもとにした大規模なステージ演出を体感できる。一方の『TMNETWORK スケルラジオ WOWOW ver.』では、3人が音楽をめぐって語り合う素顔に近い時間が楽しめる。対照的な2つのコンテンツを通して、TMNETWORKの魅力にたっぷり浸ることができそうだ。
【TMNETWORK】
1983年5月、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人で結成。1984年4月21日にシングル「金曜日のライオン (Take it to the Lucky)」、アルバム『RAINBOW RAINBOW』でデビュー。斬新なサウンド、深遠なメッセージ性、緻密に構築されたメディア戦略で瞬く間に日本国内を席巻し、現在のJ-POPシーン隆盛の礎を築いた。1994年にプロジェクト終了宣言をするも、1999年に再始動。その後、何度かの活動スリープと再起動を経て、2021年より複数年にまたがる40周年プロジェクトを敢行。2026年に名称をTMNETWORKへサイレントリニューアル。"