香取市のパン店「丘の上のシェリー」と千葉県内などで回転ずし店を展開する「すし銚子丸」(千葉市美浜区)は、銚子丸の店舗で発生した魚やシャリの食品ごみを堆肥化して栽培された野菜「ケール」を活用したパンを共同開発した。看板商品のすしネタ「穴子」を使ったパンも考案。今後も食品ロス削減に取り組んでいく考えだ。
両社のコラボは、丘の上のシェリーが販売している香取市産サツマイモの規格外品を活用した洋菓子のカヌレ「imolé(イモレ)」と銚子丸の堀地元常務(54)の出会いがきっかけ。5月から商品開発に着手した。
会議では銚子丸の名物「あら汁」をパンにするなどのアイデアが出され、複数種類のパンを試作。商品化の実現性の議論を重ねていく中で、冷凍で管理しやすい「穴子」と、銚子丸から回収した食品ごみを畑の堆肥にして作物を育てているリサイクル業「みどり産業」(市原市)の「ソフトケール」を食材にした。
販売するのは、穴子をバターたっぷりのデニッシュ生地に巻いて焼き上げ、甘ダレを塗った「穴子デニッシュ」(税込み320円)、いずれもケールをパウダー状にして生地に練り込んだ「ケールベーコンアスパラエピ」(同360円)、「ケールおやき」(同360円)の3種類。
試作は約3カ月に及んだ。丘の上のシェリーの新井翔大専務(29)は「穴子の臭み解消やふっくらさを残すことが課題だった。寿司職人に『あぶったらどうか』とアドバイスを受け、穴子が苦手な人でもおいしく食べてもらえるパンに仕上がった」と振り返る。
2種類のケールパンについても、堀地常務は「甘さが特徴のソフトケールの味がしっかりしていておいしい。食品ロスを削減する商品を開発することができてよかった」と手応えを口にした。パンは丘の上のシェリーの店頭で購入でき、今後銚子丸での販売も検討。
また、コラボが縁で銚子丸の一部店舗で提供している静岡市の老舗茶屋「浜佐園」の玉露入り粉末茶を使った食パンとお茶のカヌレ「茶nulé(茶ヌレ)」も販売している。