学用品にも戦禍の影 強制疎開で自宅取り壊し 伊東夫美さん(89)=千葉市中央区 【戦後78年千葉 記憶をつなぐ】

小学5年生の時に使っていた国史のノートを手にする伊東さん=千葉市中央区
小学5年生の時に使っていた国史のノートを手にする伊東さん=千葉市中央区
伊東さんが保管している戦時中の通信簿など
伊東さんが保管している戦時中の通信簿など

 戦時中、現在の千葉市立本町小学校(同市中央区)に通っていた。通学時は包帯などが入った救急袋と防災頭巾を両肩にかけていた。救急袋に入れて持ち歩いていた尋常小学校時代の学童手帳や国民小学校の通信簿などを、今でも保管している。

 学童手帳の最初のページには「教育勅語」が掲載され「当時は暗記していた」。5年生時の「国史」のノートも保管しており、丁寧な字の下には歴史上の人物の絵が描かれている。ノートの裏表紙には東アジアの地図が印刷され、中国の東北部に日本が建国した傀儡(かいらい)国家「満州国」が記載されている。

 学校近くで米軍機の機銃掃射を受けたことがあり、低空飛行で近づいて来るパイロットと目が合ったような気がした。一緒にいた弟の手を引っ張って防空壕(ごう)に逃げ込んだ。「戦争一色の時代だった。今でも通信簿や国史のノートを見ると声が出なくなります」

 戦局が悪化し、千 ・・・

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