高校の農場、育てた野菜廃棄に… 大雨で腰の高さまで浸水 台風13号被災の茂原樟陽高 生徒「すごく悲しい」 実習断念、生徒は畑浄化作業

1週間遅れで開講した学校開放講座で生徒と梨を収穫する受講者
1週間遅れで開講した学校開放講座で生徒と梨を収穫する受講者
浸水した畑の浄化のため消石灰をまく生徒=15日午後、県立茂原樟陽高校
浸水した畑の浄化のため消石灰をまく生徒=15日午後、県立茂原樟陽高校

 台風13号による記録的な大雨は、千葉県立茂原樟陽高校(茂原市上林)の農場にも大規模な浸水被害をもたらした。隣接する阿久川から水があふれ、ガラスハウスや畑が最大で腰の高さまで浸水。生徒が育てた長ネギとトマトは全て廃棄せざるを得なくなった。秋冬野菜の栽培ができなくなり、生徒は浸水した畑の浄化作業に取り組んでいる。

 一宮川の支流・阿久川を挟んで敷地が広がる同校では8日、川から濁った水があふれ出すなどし、農場全体の3分の2以上が浸水。農業科の生徒が育てた長ネギやトマト、一部のシクラメンが廃棄処分となった。牛舎の牛約10頭は足が水に漬かった状態で半日を過ごし、職員は対応に追われた。冬にハウスを加温するボイラー室も使えない状況という。同日は臨時休校で生徒はおらず、校舎に被害はなかった。

 水に漬かった畑は一部が緑色に変色し、予定していたブロッコリーや白菜、キャベツの栽培実習は本年度は断念。生徒たちは土を浄化するため、消石灰を畑にまく作業を実施している。

 農業科2年の蜂谷湊大さん(16)は「夏休み前から育てていた作物が駄目になり、すごく悲しい。少しでも早く畑を使えるようにしたい」と話し、作業に汗を流した。同校では収穫した野菜などを住民に販売しており、「念には念を入れて」(同校教諭)畑の浄化を進めるという。

 台風は地域住民との交流事業にも影響。同校は毎年、住民が生徒と触れ合いながら農作業を学ぶ学校開放講座を催しているが、大雨当日の8日に予定していた開講式は中止。12日の市立萩原小児童とのダイコンの種まきもできなくなった。

 それでも一通りの復旧作業を終え、15日には一週間遅れで同講座の開講式にこぎ着けた。受講者10人は式の後、比較的被害が小さかった果樹園で生徒とともに梨を収穫した。

 本格的に家庭菜園を始めるため参加した茂原市の佐藤純さん(72)は「(同校の)被害は知らなかった。未来を担う子たちなので、負けずに頑張ってほしい」と背中を押した。

 同校の農場では2019年10月の房総豪雨でも同様の被害が出ている。


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