大澤 今年、千葉県は誕生150周年という節目の年を迎え、大きな飛躍の年になりそうです。ゲストの皆さんには、思う存分語っていただきたいと思います。
泉水 それでは、ゲストの方々に「WITHコロナ時代の到来 ニューノーマルの幕開けとDXの加速」をテーマにそれぞれのお立場からお話しいただきます。
大澤 新型コロナウイルス感染症の流行から3年が経過し、コロナ禍で仕事や会議、自身の生活基準も変わるなど、今までの常識とは違うスタンスが受け入れられる時代となりました。
またDX化(デジタルトランスフォーメーション化)が目に見えて進捗しております。
そのような状況も踏まえ、コロナ対策や県内企業、県経済の活性化に関する向き合い方も変わってきたと思われます。
まずは熊谷知事、これらに関する昨年の施策などを交えながら、お話をお聞かせください。
熊谷 まず、新型コロナウイルス対策ですが、昨年はワクチンの接種が進むとともに、コロナに関して分かってきたことがたくさん出てきました。科学的知見の積み重ねにより、徐々に社会や経済の日常が戻ってきた1年だったと思います。
県としては、重症化リスクの高い方々を守ることに重点を置き、新たな変異株の流行などを踏まえた対応を行ってまいりました。
県民の皆さま方、そして医療従事者の方々、事業者の皆さまには、1年を通じ、多大なご協力をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。
具体的な対策ですが、まず一つは病床の確保ということで、県では病床の確保を進めながら、新たな臨時医療施設を数多く開設してまいりました。その一つが千葉銀行さんにご協力をいただいた「ちばぎん研修センター」です。こうした民間との連携で、県民の皆さま方に対して医療を提供できたと思っています。
発熱外来は、感染が拡大するとどうしてもひっ迫してしまいます。少しでもカバーできる施策を打とうと、まずは県民の皆さまに、県として検査キットを配り、陽性となった方が発熱外来に行かなくともオンラインで陽性登録ができる、陽性者登録センターを全国に先駆けて設置をしてまいりました。
今年も科学的知見を踏まえ、真に医療が必要な方にしっかりとフォローができる体制を確保しながら、社会経済活動の回復との両立を図っていきたいと思います。
経済については、長引くコロナの影響で非常に影響を受けた中小企業の方々がたくさんいらっしゃいます。また、今、物価高騰の影響もあります。まずはそうした企業の皆さま方に対して、経済の底支えをしっかりしていかなければいけない一方で、20年、30年先を見据えた、千葉県の将来の展望が開けるような経済対策を、同時に打っていきたいと思っています。
まず、消費喚起を図るため、「千葉とく旅キャンペーン」で観光業の皆さま方を支援したり、キャッシュレス決済によるポイント還元キャンペーンや、プレミアム付き食事券などで、飲食・小売・サービス・観光をはじめ幅広い事業者を、これまで県の施策で支援してまいりました。
そして、昨年は水際対策の緩和がありました。いよいよ海外との往来が復活をしてくるということで、我々はまず、昨年12月に台湾に職員を派遣し、改めて現地の旅行会社に県としてプロモーション、セールスを行いました。今年はタイ、ベトナムなどでも商談会を予定しており、インバウンドの消費の回復に向けてしっかり県としてプロモーションを強化していきたいと思っています。
今年は新しい「ちば中小企業元気戦略」を策定する年になっておりまして、千葉県の99・8%を占める中小企業の方々、これが県の経済の活性化の一番の源でありますので、現場の意見を十分に酌み取った上で、意欲的な取り組みを支援できる計画を作っていきたいと思います。
そして将来を見据えた部分では、何といってもインフラの整備が重要であります。令和6(2024)年度に千葉県を縦に貫く圏央道の県内未開通部分の全線開通が予定されており、整備が進展していくということ、それから令和10(2028)年度末までに、成田空港では、第三滑走路を新しく作るなど更なる機能強化が予定されておりますので、こうした大きな変化を千葉県の価値やポテンシャルの向上に繋げていきたいと考えています。
そして今の大きな流れ、動きとしてデジタル化、DXがあります。千葉県は現在、「デジタル・トランスフォーメーション推進戦略」を策定中でありまして、デジタル技術によって県民の皆さま方、そして県の経済の活性化に繋げていくという部分に力を入れていきたいと思っています。
県民の皆さまには、例えば行政の手続きで、今まで紙で行っていたものがデジタルになる、もしくは県庁やさまざまな行政機関に来なくても済むような手続きの改革であったり、キャッシュレス化で、例えば、県立の高校であったり、学校の入試を受ける際などに、現金払いや収入証紙を使っていたものを、オンラインで支払いができるような取り組みを、今後、県として本格的に導入してまいります。
またデジタルに関しては農業や水産業でもICT技術によって大きな変化が生まれております。こうした産業面でも生産性が向上できるように、私たちは民間の皆さまと一緒に、千葉県からデジタル化の恩恵を受けられる社会を作っていきたいと考えています。
大澤 佐久間会長、千葉銀行では利用者への利便性向上などの取り組みを積極的に行われていますが、コロナ過でどのような事業を展開されたのでしょうか。
佐久間 コロナ対策への貢献としては、先ほど知事からもお話をいただきましたが、一昨年より千葉市稲毛区の研修センターを県の臨時医療施設として提供しています。
また、千葉大学医学部附属病院がエクモカーを導入する際には、日本財団と共同で支援させていただきました。
新型コロナで、私たちの考え方や行動は大きく変わりました。人との接触を控えるようになり、自宅でのテレワークや会議・セミナーのオンライン開催が一般的になりました。
また、買い物をする際にも現金ではなく、電子決済を使う人が増えるなど、コロナを機にデジタル化が急速に進んでいると感じています。
こうした変化に対応するため、当行ではデジタル分野に力を入れています。
まず、個人のお客さまには「ちばぎんアプリ」を提供しており、登録件数は65万件を超えました。
窓口やATMに行かなくても、スマホで入出金の確認や振込が簡単にできるので、お客さまからは好評をいただいています。
公共料金や税金の支払いもアプリでできるようになりました。バーコードをスマホで読み取り、簡単に支払いが完了します。
昨年9月には、地銀で初めて「Apple Watch」向けのアプリを導入しました。スマホを開かなくてもアップルウォッチで預金残高や入出金の明細が確認できるようになりました。
今後も新しい機能を追加していく予定ですので、多くの方にご利用いただき、便利さを実感していただきたいと思います。
アプリの使い方をご案内するため、千葉駅前支店の1階に「ちばぎんイノベーションラウンジ」を開設しています。スマホの操作が苦手な方にも丁寧にサポートしていますので、ご利用いただければと思います。なお、ラウンジでは子会社の「ちばぎん商店」が取り扱う商品も一部展示していますので、お近くにいらした際には是非ともお立ち寄りください。
事業者の皆さまには「ちばぎんビジネスポータル」を提供しており、現在2万8千先を超えるお客さまにご利用いただいています。ビジネスポータルを活用することで、事業に必要なさまざまな情報やサービスを利用することができます。個人向けのちばぎんアプリ同様、こちらも機能を充実させていきます。
また、昨年7月より、事業性融資で「電子契約サービス」の提供を始めました。3月までに全支店に導入する予定です。このサービスは、契約書に社名を記入し、印鑑を押すかわりに電子署名で契約が完了するものです。契約にかかっていた時間が短縮されるだけでなく、契約書類を簡単、安全に保管できるようになりました。
銀行内の業務の見直しも進めています。
電子稟議システムや、営業店の窓口で導入した「ペーパーレス・印鑑レス」システムにより、紙の使用量を大幅に削減しました。
また、単純なデータを入力する作業は、ソフトウエアロボットによる自動化を進めており、職員の事務負担を軽減しています。
DXにより業務効率化はますます進んでいくと思いますが、効率化で生み出した時間や人員は、お客さま向けのサービスに振り向けていきたいと思います。
事業者の皆さまや自治体がデジタル化を進める際にも当行は支援を行っています。お客さまからの相談内容が多様化しているため、「ちばぎん総合研究所」や「ちばぎんコンピューターサービス」などのグループ会社と共にご相談に対応しています。
この他、デジタル分野に関する話題としては、昨年10月のソニー銀行との業務提携があります。この提携では、デジタル技術のほか、商品やサービスをお互いに提供したり、テクノロジーの活用について、共同で研究していくといった2つの分野で連携をスタートしました。ソニー銀行と協力し、相乗効果を生み出していくことを期待しています。
大澤 境事業部長は就任して3年半になりますが、昨年はどんな年だったでしょうか? また、DXの加速という点では、さまざまな技術を活用して産業の活性化に取り組まれたことも多かったと思います。その点についてもお聞かせください。
境 コロナ禍において、キャッシュレスの普及、リモートワークの拡大など生活環境や働き方が大きく変化したと感じています。
NTT東日本は、地域の通信インフラ事業者として、365日、通信を提供する責務を負っておりますが、近年はさらに、その情報通信の力で「千葉の魅力を発信していく」「千葉を元気にしていく」ということにも積極的に取り組んでいます。
一例として、ドローンを活用したスマート農業についてお話ししたいと思います。
千葉県は、全国でも有数の農業県ですけれども、近年では「農業をされる方の高齢化」や「担い手不足」あるいは「後継者不足」という悩みが深刻化しています。そうした課題を情報通信技術すなわちICTを活用して解決しようという試みです。
昨年は、香取市や九十九里町、横芝光町など県内各地で日本製ドローンの体験フライトを実施しまして、農薬散布を広範囲に効率的に行える様子を農家の皆さんにも実感いただきました。
さらに今後は、作物の生育状況を確認したり映像技術やAIなどと組み合わせて収穫時期の予測をしたりできれば、千葉県農業の魅力をどんどん高めていけるのではと思っています。
農業はほんの一例ですが、長年私たちが磨き続け、変化し続けてきた技術が今、千葉のさまざまな産業に付加価値を付けられるようになりましたので、地域の一員として、地域の課題を解決し、持続可能な社会の創出を実践していきたいと思います。
また、DXが加速していく社会では、デジタルツールを使いこなす、あるいは運用するといったデジタル人材の育成が不可欠です。私たちは、学校への出前授業などを通じて、こうした側面でもお手伝いを実施しています。
昨年の8月には、船橋情報ビジネス専門学校様で、DXツールの技術とリアルな活用シーンを学んでいただく「DX体験特別講座」を行いました。学生さんと教職員合わせて約70人の方々に、同校のOBを含む社員が講師となって、DX活用事例の紹介や課題に対して実際にプログラムを組んで動かしてみるという実践型の授業を行ったところ、「貴重な体験だった」とか「社会人になったときに自信になる」などと、学生の皆さんからも好意的かつ前向きな感想を頂戴することができました。
大澤 国際社会の中でデジタル化が遅れているといわれていた日本ですが、コロナ禍をきっかけにデジタル化が日常生活や産業活動において加速しています。
しかし、何から手をつけていいのかと戸惑う中小企業も少なくありません。県をはじめ千葉銀行、NTTさんには、その支援をお願いしたいと思います。
