泉水 ここからは近年激甚化し、甚大な被害が発生している自然災害への備えなど防災・被災への備え、対応についてお話しを伺います。
大澤 熊谷知事、令和元年台風はまだ記憶にも新しいところですが、本県は未曾有の被害を被りました。県が取り組む災害対策などについてお聞かせください。
熊谷 県政のあらゆる政策の土台は、安心・安全であり、危機管理や防災対策は我々県にとっては最も重要な政策分野になります。世論調査においても、県政に対する要望として、平成23(2011)年度から11年連続で1位は災害対策でありまして、県民の皆さま方の関心が高いということであります。
先ほどおっしゃっていただいた通り、我々はあれだけの災害を受けたからこそ、教訓を学び取って、どの県よりも災害に強い千葉県、防災県を作っていこう、こういう考え方で取り組みを行っています。
房総半島台風振り返りますと約64万戸の大規模な停電、そしてそれに伴って同時に通信障害も起きてまいりました。我々もそうですし、電気、ガス、水道、通信、こうしたインフラ企業の方々も、もっともっとできることはあったのではないかという思いの中で、県としても企業の方々や団体と防災協定の内容を改めて見直したり、新たな協定を締結しました。また、締結するだけではなくて、実動訓練なども行って実際起きたときにどういうふうに行動をしていくか、県民の皆さま方の日常を1日でも早く取り戻すための官民の連携が大きく進んでおります。
令和元(2019)年に甚大な被害を受けた一宮川水系では、水害対策として、我々は河川の整備を今、大規模に行っており、調節池も整備をしております。
それだけではなく、例えば雨水を田んぼで吸収してゆっくりと排水していく「田んぼダム」と我々言っておりますけれど今までの防災インフラ整備だけでなく、こうした地域の力も使っていく流域全体で治水を行うというプロジェクトが、今、千葉県の中では進められております。
また、大規模災害時には何といっても、高規格道路は、広域的に救援や救護活動をする上で不可欠であり、我々は強靱で、そして信頼性の高い道路ネットワークの整備に向けて、着実に道路整備であったり、もしくは橋の耐震補強などを進めてきております。
こうした取り組みを行政が着実に進めていくということ、それから団体や企業、そうした多くの千葉県を支えていただいている方々との連携を深めていって、オール千葉県で、災害に強い千葉県を作っていきたいと考えています。
大澤 佐久間会長、災害で被災した際には多くの家屋や施設に甚大な被害が出ます。特に企業の施設への被害は、社員の生活補完、県民・国民へ商品提供ができないなどの問題が発生します。このような場合の地銀の役割や制度などをお話しください。
佐久間 災害が発生した際、被災されたお客さまへの支援活動は、地域金融機関の重要な役割だと考えています。
特に、個人のお客さまが生活に必要な資金を確保するための対応や、法人のお客様が事業を継続していくための資金供給は、速やかな対応が求められます。
当行では、被災された個人や、事業者の皆さまをサポートするために、制度融資を設けています。災害発生時にも、お客さまからのご相談にしっかりと耳を傾け、金融の円滑化に努めてまいります。
大きな災害が発生した場合、当行にも被害が出る恐れがあります。こうした状況でも当行が業務を継続するため、自家発電装置や電源車を整備しています。
また、被災した地域に派遣できる移動店舗車も保有しており、現金の払い出しなど、金融サービスを継続できるように、態勢を整えています。
2020年9月に完成した新本店ビルは、帰宅困難者の一時的な滞在施設として約700人の受け入れが可能です。
本店内には、全支店の周辺映像を確認できる設備があり、店舗ネットワークを活用して、県内各地の情報を収集することができます。こうした情報を、県などの行政機関に提供し、少しでもお役に立てればと考えています。
災害はいつ起こるかわからないので、普段からの備えが重要です。千葉県とは災害発生に備え、協定を締結しています。
この協定には、今お話した内容のほか、千葉県が実施する防災講習や、啓発活動に協力していくことが盛り込まれています。
熊谷知事のリーダーシップのもと、地元企業として、できる限りの協力をしていきたいと思います。
大澤 境事業部長、災害の発生時には、インフラ事業者として迅速な対応、復旧活動が求められると思います。日頃からの備えや復旧に向けた取り組みについてお聞かせください。
境 通信は、もはや欠かすことのできないライフラインですので、「つなぎ続ける」という使命感を持って、いろいろな備え、取り組みを行っております。そして、令和元年台風の経験を経て、自社内はもちろんですが、県や各自治体の皆さま、さらには地元企業との連携、対話、つながりが本当に大切だと実感しています。
先ほど、熊谷知事からのお話にもありましたように、地域の防災訓練に参加し、通信復旧訓練であるとか、公衆電話や災害用伝言ダイヤル171の体験利用などの啓発活動を行わせていただいていて、自治体、警察・消防、医療、食料など官民の力がたくさん合わさって、いざという時のイメージを具体化していく貴重な機会になっております。
また、千葉事業部としても、エリアである千葉県・茨城県のNTTグループ会社や協力会社の皆さんと一緒に、大規模な通信復旧訓練を毎年実施しております。昨年12月に行った訓練では、はじめて自治体や他企業の皆さまにもお声がけして多数ご参加いただき、総勢約350人、小雨の降る寒い中、絆を確かめ合いながら無事にプログラムを完遂することができました。
地域の皆さまと仲間づくりを進めている例をご紹介しますと、ウェザーニューズさんとの災害時連携協定では、NTT東日本の通信施設に浸水を検知するIoTセンサーを設置することで、浸水状況を素早く把握することができるようにしたり、イオンさんとは、復旧拠点を構築するために駐車場など敷地提供をいただくこと、店舗施設などの通信の維持・確保などを相互に協力する協定を結んでいます。
最近では、昨年10月に、千葉県タクシー協会京葉支部さんと連携協定を締結しました。被災時にタクシーを活用することで、作業員や資材等の運搬が円滑に効率よく行えるようになったり、無線を使ってリアルな道路情報を把握できるため復旧活動の迅速化にもつながることから連携したものです。
また、ケーブルネット296さんやジェイコム千葉さんをはじめとする県内のケーブルテレビ事業者さん、そしてKDDIさんとも業務提携しました。ケーブルの垂れ下がりや切断といった不安全設備があれば自社のものでなくても仮の処置をして、安全性の維持を図ります。
相互に連絡を取り合い、日頃のコミュニケーションがうまれることで”ともに地域を守っている”という意識も醸成できれば、いざという時に必ず役に立つはずです。
今後は、相互補修だけでなく、電柱などの設備点検にAIを組み合わせることで点検精度の向上や効率化に効力を発揮するのではないかと思っております。
さらに、昨年11月に東京ガスネットワークさん、東京電力パワーグリッドさんと、本社間で3社連携協定を締結しました。サスティナブルな循環型社会の確立に向けて、社会基盤として大きな役割を担う「ガス」「電気」「通信」が連携し、地域価値の向上に向けた取り組みを推進していく予定です。
